中国服とチャイナドレス専門店 水雲間
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このページでは中国服とチャイナドレス(旗袍)の歴史を紹介しております。

1. はじめに
2. 旗袍というもの
2.1 生地
2.2 図柄
3. 旗袍の起源
4. 時代の中での旗袍
4.1 1920年〜30年
4.2 1930年〜40年
4.3 1950年〜60年
5. 旗袍の復活と広がり
5.1 1980年代からの復活
5.2 オリジナル・デザインの旗袍
5.3 女優たちが愛する旗袍
5.4 世界中のデザイナーたちが認める旗袍
6. 旗袍の未来
7. 用語

1. はじめに
 中国人が着る伝統的な衣服を「中国服」といいます。そのなかでも一番良く知られているのが、チャイナドレス、所謂「旗袍(チイパオ)」になります。「旗袍」=「チャイナドレス」のことだと思ってください。

<旗袍>
 チャイナドレスのことを中国語で旗袍(チイパオ)といいます。日本語の音読みでは「キ・ホウ」となりますが、ここでは「チイ・パオ」又は「チーパオ」と発音してください(*1)。「チイ」の「イ」、「パオ」の「オ」、それぞれ語尾を上げて発音すると中国語(北京語)らしくなります。
*1:日本では一般的に「チーパオ」の方が、通りがいいようです。



2. 旗袍というもの
 旗袍は時代の移り変わりのなかで様々な種類のものが生み出されましたが、一般的には「高い襟」、「スリット」、「装飾用ボタン」、「女性物ワンピース」の特徴を備えたものをいいます。

 旗袍のデザインは、長い中国の歴史の中で、幾多の変遷を経て現在に至っています。しかしそのデザインは、いつの時代でも女性本来の美しさを引き出し、そして表現してきました。

 旗袍は普段着でも外出着としても着られます。ツーピースもしくは上着のみを普段着として、ワンピースは外出着などとして着られているようです。

2.1 生地
 旗袍に用いられる生地は実に多く、原材料では、絹、綿、麻、毛、化学繊維等があり、織物では、紗、ベルベット、緞子、繻子(サテン)、毛織、ちりめん、錦等があります。

2.2 図柄
 一般に縁起の良い文字や花、動物等を図案化したものが用いられます。文字では「寿」、「福」、「喜」等。花では「梅」、「牡丹」等。動物では「龍」、「鳳凰」、「孔雀」、「蝶」等。



3. 旗袍の起源
 旗袍はもともと中国東北地方から出た満州族の服装でした。紀元前1600年頃、商(殷:いん)の時代に満州族は旗人(チイ・レン)と呼ばれ、彼らが着た服装を旗袍と呼んだのが始まりです。



4. 時代の中での旗袍
 明代(1386年〜1644年)
 この時代の旗袍は“ゆったり”と着るもので、襟は圓領(「ユァン・リン」と発音。丸襟・ラウンドネックのこと。)、右前、ウェストを絞るものでした。裾広がりで形としてはアルファベットの"A"に近いものでした。

4.1 1920年〜30年
 映画産業が発展し、その中で旗袍も改良されました。女子の就学率も向上し、上海の女学生の制服として綿の旗袍が採用されたりもしました。

4.2 1930年〜40年
 ヨーロッパから様々なデザインを取り入れた旗袍を上流階級の女性、女優たちが、パーティなどで着るようになりました。
 上海の雑誌「良友」でも新しいデザインの旗袍が紹介されます。タバコ、カレンダー、と様々な広告媒体に旗袍が登場します。まさに“旗袍の黄金時代”と言えます。

 1949年の中華人民共和国建国以前の当時の中国女性は1着や2着は旗袍を持っていると言われたほどでした。市民の普段着としても一般化しました。

 デザインが“ゆったり”から“ぴったり”に変わったのもこの時期と言えます。襟も耳の近くまで来るほど高くなったり、逆に低くなったりと様々です。

4.3 1950年〜60年
 中華人民共和国成立後は、徐々に旗袍は廃れて、一部の婦人のみが着用するだけでした。
 男性は、孫文が着ていた服(これを「中山装」(チォン・シャン・チュウォン)という。日本人が言う「人民服」のこと。中国人には「人民服」では通じないようです。)を真似し、これによって男性用の長袍は姿を消して行きます。



5. 旗袍の復活と広がり
 中華人民共和国成立後から文化大革命の期間を通して、旗袍のような民族的な中国服は見られなくなりましたが、20年ほど前から旗袍は徐々に復活してきます。

5.1 1980年代からの復活
 再び映画の中で女優が着用するようになります。またレストランのウェイトレスが着るようになりました。数百年の旗袍の歴史の中で一度は廃れましたが、その良さが見直され、人々によって再発見されます。

5.2 オリジナル・デザインの旗袍
 香港や台湾、そして中国本土でも、次々と新しいオリジナル・デザインの旗袍が作られるようになりました。

5.3 女優たちが愛する旗袍
 中国の女優、鞏俐(Gong Li。日本では「コン・リー」と呼ばれていますが、発音は「ゴン・リー」に近いと思います。)が海外で行われる国際映画祭の授賞式では幾度も旗袍を着ております。彼女は20着以上の旗袍を持っているそうです。

 映画、「花様年華」の主演女優、張曼玉(Zhang Man Yu。日本では「マギー・チャン」)は映画の中で異なったデザインの旗袍を20着ほど着たことで有名になりました。「東洋女性の素敵な服装」と世界中がびっくりしました。

5.4 世界中のデザイナーたちが認める旗袍
 クリスチャン・ディオール、ピエール・カルダンなどの有名ブランドからも旗袍をモチーフにしたデザインが発表されています。



6. 旗袍の未来
 今日、旗袍は単なるファッションとしてのみにとどまらず、それは中国国民の誇るべき象徴になっています。また、今後更に、世界中に旗袍が広まってゆくことでしょう。



7. 用語

(1)装飾用ボタン
 中国服につけるボタンには、結んだ糸をループさせた直線ボタンと、模様を形作った花ボタンがあります。普段着用は簡単な直線ボタンのもの、フォーマル用には豪華な花ボタンのものと、TPOによって旗袍を選ぶことができます。

(2)右前
 普通の和服と同じように着る着方。ちょっと難しく言うと「相手から見て右の衽(おくみ)を手前にして着ること」をいいます。
 左前はこの逆で、女子の洋服類は普通左前に仕立てます。伝統的作りの旗袍の殆どは右前ですが、洋服の要素を取り入れたものは左前もあります。専門店ではなく、デパート等で売られている所謂「チャイナ服」は左前が多いようです。
 この右前、左前というこの言葉は、誤解を招きやすい言葉です。着物や浴衣を着るときを思い出してください。男女とも、自分から見て左手で掴んでいる側を前にして(外側に出して)着ます。これを「右前」というのです。言葉としては普通と逆ということでしょうか、「左前」の方がよく知られています。「右前」という言葉は当たり前なのか、辞書に出ていないことがあります。「着物を逆に着ると左前、女性の洋服も左前」、と覚えましょう。
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